G.U.フォーレ シチリアーノ アナリーゼ(楽音分析)
シチリアーノはルネサンス音楽末期から初期バロック音楽に遡る舞曲の一つで、オペラやアリアにも応用されています。
ゆるやかな8分の6拍子か8分の12拍子で作曲され、ためらいがちに揺れ動く曲想と付点リズムが特徴的で、通常は短調をとります。
近代フランスの作曲家フォーレが、チェロとピアノのために作りましたが、むしろフルート用に編曲されたもので親しまれています。
シチリアーノとは「シシリー島風の」という意味ですが、民族舞曲的な色彩をおさえて、どこかしら牧歌的で抒情的仕上がりをみせる秀逸な作品です。
19世紀の間、シチリアーノで有名な曲はほとんど産まれませんでしたが、フォーレによってチェロとピアノのための《シシリエンヌ ト短調》が作曲されました。
これは後にフォーレの弟子のケックランによりオーケストラ用に編曲され、劇の付随音楽として挿入され、いっそう広く知られるようになりました。
物悲しい雰囲気があるために秋や冬をイメージして使われることが多く、現代でもドラマやCM、アニメにも使われています。