悲愴

音楽解説

L.v.ベートーヴェン ピアノソナタ8番 悲愴 第二楽章 アナリーゼ(楽音分析)

この作品はベートーヴェンのピアノソナタの中で初めて高く、永続的な人気を勝ち得た作品です。 当時の楽譜の売れ行きもよく、気鋭のピアニストとして名声を高める重要な成功作となりました。 『悲愴』という標題は、出版前から決められていました。 自分の作品に表題を与える事が少ないベートーヴェンが名前を付けた珍しい作品です。 『悲愴』が、どのような意味をもって名づけられたのかは作曲者自身は語っていません。 ベートーヴェンの父は、宮廷歌手でしたが、無類の酒好きだったため、収入は途絶えがちでした。 そのため、父から音楽の才能をあてにされ、虐待とも言えるほどの苛烈を極める音楽のスパルタ教育を受けたことから、一時は音楽そのものに対して強い嫌悪感すら抱くようにまでなってしまいました。 また、20代後半頃からは持病の難聴が徐々に悪化し、音楽家として聴覚を失うという死にも等しい絶望感から何度も自殺を図りました。 しかしそんな中でも音楽への強い情熱をもって苦悩を乗り越え晩年まで作曲をし続けながら幕を下ろしました。 ベートーヴェンの生涯は苦悩の連続でその中で作られたこの曲は現在でも広く知られています。 どのような思いを込めて作ったのか考えながら聞くと感慨深い気持ちになりますね。