この記事は
・高配当株式の見つけ方・選定方法・評価方法が知りたい
という方に向けて解説しています。
ついに来たね
何が来たの?
もちろん今年のNISA枠が使えるようになったことよ。
あーどの株買おうかなー
姉さん嬉しそうね、私も証券口座を開設したんだけど、実際どの株を買えばいいか、迷っているわ。
前に姉さんが勧めてくれた日本株の高配当株投資をしたいと思ってるんだけど。
過夜もついに株を始めたのね。嬉しいわ。
高配当株の選定方法については覚えてる?
ええ、確か高配当株を選ぶ基準が10項目あるのよね。
なかなか見つけるのが難しいの。
じゃあ今日は、実際に高配当の株式の選別をしていきましょ
参考
はじめに
今回は日本株の高配当株投資の方法について解説します。
以前高配当株に投資するための基準を説明いたしましたが、今回は実際に株式を見て選定していきま
す。
この記事を読むことによって今後は自分ひとりで高配当株の株式を選別できるようになります。
第6回で解説した高配当株の選定基準は以下の通りです。
(1) 配当利回り3.75%以上
(2) 配当推移が上昇傾向、変動が激しくない
(3) 配当性向が60%以下
(4) 売上高が長期的に上昇傾向、変動が激しくない
(5) 営業利益率が10%以上
(6) 自己資本比率が40%以上
(7) EPSが上昇傾向、変動が激しくない
(8) 1株当たりの純資産が長期的に上昇傾向
(9) 流動比率200%以上
(10) 営業活動によるキャッシュフローが上昇傾向、変動が激しくない
これらの株式を30社以上に分散して購入することで不景気でも安定的に配当が得られる仕組みを作る
ことができます。
それでは実際に行っていきましょう。
STEP1高配当株の見つけ方
まずは高配当株を見つけるところから始めましょ
そうね、でも高配当株を見つけるのも大変よね。
一つ一つ株式会社の配当を見ていくだけで一苦労だわ。
そんなことしなくても、googleで「高配当株 ランキング」で調べればyahooファイナンスで高配当株式が高い順に表示されるわ。
こんな方法があったのね。
一つ一つ探さないと行けなと思っていたわ。
早く教えてくれないと
ごめんなさい。
それじゃあ見ていきましょ
今回は令和4年1月15日時点での高配当株を上位50位を参考に株式銘柄の選定をしていきます。
以下は令和4年1月15日の高配当株ランキング上位50位一覧です。
こちらは全て配当利回り3.75%以上のため選定基準(1)を満たしています。
今回はこの50社の中から高配当株投資として優良な銘柄を探していきます。
とりあえず高配当株の株式一覧は分かったわ
そうね、これでスタートラインに立てたわ。
次はここに書いてある株式を一つずつ選定していくわ。
ここからが大変なのね。
望むところだわ。
STEP2 高配当株式の選定
選定1 配当推移,売上高
まずはランキング1位の明和産業(株)を見ていきましょう。
まず見るポイントとしては配当推移です。
こちらは直近の2021年に減配をしています。
コロナショックがあったため、ある程度の許容は必要ですが、前回の配当額から半値以上下がっています。
次に売上高を見ていきましょう。
こちらは長期的にみて減配傾向があります。
このように
過去10年間の配当が2回以上減配している。または配当が昨年に比べて半分以下まで減配している株式
売上高が直近10年で減少傾向である株式も除外しましょう。
また10年前には上場しておらず配当を出していない年がある場合も除外します。
上場してからの歴史が短い場合今後どのように推移するか分からないためです。
選定2 証券取引所
高配当株ランキングの銘柄の中で名証、や福岡Qなどと記載されているものもあります。
日本では東京、大阪、名古屋、札幌、福岡の証券取引所で株式を扱っていますが、そのほとんどが東京証券取引所で行われており、東証以外の者は取り扱っていない証券口座があります。
そのため今回は除外しましょう。
選定1、選定2で株式をより分けると、以下の株式が残ります。
12 小野建(株)
25 (株)スクロール
29 (株)スカラ
30 武田薬品工業(株)
39 日本空調サービス(株)
44 (株)エフティグループ
47 フィデアホールディングス(株)
へえ、50社もあったのに、たった7社しか残らないのね。
そうね、ここに書いてある株式以外は配当が過去に2回以上減配していたり、
売上高が下がって今後配当が下がる可能性が高いものだわ。
そういう株式銘柄はしっかりと除外しないと「買った後に減配、無配になっちゃった」っていう悲しいことになるから注意しないとね。
配当の高いベスト10は全て弾かれているわ。
通常だと業績が悪くて他の人が買ってくれないから、配当を一時的に高くして株式を買ってもらうと考える会社もあるの。
配当が高いということはそれだけ、会社からお金が出て行っているわけだから、業績が良くて儲けてないといつか、減配という形でしわ寄せが来るわ。
なるほど、ただ配当が高ければいいわけじゃないのね。
勉強になるわ。
選定3
次により分けた銘柄を一つずつ見ていきましょう。
小野建(株)
小野建は建設機材の鉄鋼等の卸売り業者で、中国など海外からも輸入を行っています。
それでは各指標を見ていきましょう。
まずは配当性向が60%以下であることを見ていきましょう。
直近の2021年は25%と60%以下になっており、他の年を見ても無理のない配当を出していることが分か
ります。
次は自己資本比率を見ていきましょう。
自己資本比率が40%以上あると、会社の資産があり優良30%以上で標準、それ以下だと危険だと
言われています。
但し業種によっては自己資本比率が低いところもあるため、同じ業種について確認して判断しま
しょう。
自己資本比率は50%以上で優良です。
次にEPSです。
こちらも長期的に上昇傾向で業績が順調に良くなっていることが分かります。
次に営業利益率を見ていきましょう。
営業利益率は10%以上だと優良でそれ以下だと一般的だと言われています。
こちらは一般的な水準です。
次は流動比率です。
こちらは200%以上で優良、100%以上で標準、100%以下だと危険だといわれています。
流動比率=流動資産÷流動負債 で計算することができます。
流動資産を流動負債で割って2以上なら優良、1以上なら標準、1以下なら危険です。
こちらは直近の決算短信を見てみましょう。
流動資産が87,890百万円 流動負債が60,539で流動比率は標準的です。
次は一株当たり純利益です。こちらはBPSともよばれ、1株あたりどれだけの利益を出しているかを示
す指標です。
こちらは長期的に見て上昇傾向であれば優良、下降傾向があり、変動が激しければ危険となります。
こちらは安定して長期的に上昇傾向があり、1株の利益が長期で上がっており、今後も増配が期待でき
ることが分かります。
最後に営業利益によるキャッシュフローを見てみましょう。
こちらも変動が少なく上昇傾向があれば優良、変動が大きく下降傾向があると危険となります。
こちらは直近では大きく黒字ですが、変動が激しいため、あまりいいとは言えません。
STEP3 株式の評価
さて、選別1、選別2は必須条件としてより分けましたが、選別3について全てを満たしているものは
なかなかありません。
なので、STEP3のデータを総合的に評価して点数をつけましょう。
小野建についてはこのような評価となります。
配当利回り3.75%以上(必須) | 〇 |
配当推移が上昇傾向、変動が激しくない(必須) | 〇 |
売上高が長期的に上昇傾向、変動が激しくない (必須) |
◎ |
配当性向が60%以下 | ◎ |
自己資本比率が40%以上 | ◎ |
EPSが上昇傾向、変動が激しくない | ◎ |
営業利益率が10%以上 | 〇 |
流動比率200%以上 | 〇 |
1株当たりの純資産が長期的に上昇傾向 | ◎ |
営業活動によるキャッシュフローが上昇傾向、変動が激しくない | △ |
全体的に評価が良く、鉄鋼の卸売業は建築を行う限り必須であり、今後も需要があるものだと考えられ
ます。
そのため、この銘柄は購入する価値があります。
同じように、他の銘柄も見ていきます。
(株)スクロール
スクロールは女性アパレル、雑貨、化粧品・健康食品・旅行等の通信販売業(BtoC、BtoBtoC)および
EC・通販事業者へのソリューション事業を主に行っています。
株式の評価をまとめるとこのようになります。
配当利回り3.75%以上(必須) | 〇 |
配当推移が上昇傾向、変動が激しくない(必須) | 〇 |
売上高が長期的に上昇傾向、変動が激しくない (必須) |
◎ |
配当性向が60%以下 | △ |
自己資本比率が40%以上 | ◎ |
EPSが上昇傾向、変動が激しくない | △ |
営業利益率が10%以上 | △ |
流動比率200%以上 | ◎ |
1株当たりの純資産が長期的に上昇傾向 | 〇 |
営業活動によるキャッシュフローが上昇傾向、変動が激しくない | △ |
こちらは必須条件は満たしていますが、配当も去年から増配したばかりで、まだ実績が少ない状況で
す。
会社の業務内容については今後も需要が見込まれると考えられます。
EPS、営業利益率、キャッシュフローなどは赤字を出している年もあるため、注意が必要です。
総合的に見ると、今後の状況を見て購入を検討するといったところでしょうか。
(株)スカラ
スカラはIT , AI , IoT 事業を主に行っている企業です。
株式の評価は以下の通りです。
配当利回り3.75%以上(必須) | 〇 |
配当推移が上昇傾向、変動が激しくない(必須) | ◎ |
売上高が長期的に上昇傾向、変動が激しくない (必須) |
◎ |
配当性向が60%以下 | 〇 |
自己資本比率が40%以上 | 〇 |
EPSが上昇傾向、変動が激しくない | 〇 |
営業利益率が10%以上 | 〇 |
流動比率200%以上 | 〇 |
1株当たりの純資産が長期的に上昇傾向 | ◎ |
営業活動によるキャッシュフローが上昇傾向、変動が激しくない | 〇 |
こちらは全体的に評価が良く、会社の業務内容について今後も需要があるものだと考えられます。
財務成績も優良で、配当もリーマンショック、コロナショック時にもしっかりと増配をしており、今後
も増配が見込まれます。
この銘柄は購入する価値があります。
武田薬品工業(株)
武田薬品工業はCMなどでも見たことがあるように医薬品の販売を行っています。
株式の評価は以下の通りです。
配当利回り3.75%以上(必須) | ◎ |
配当推移が上昇傾向、変動が激しくない(必須) | 〇 |
売上高が長期的に上昇傾向、変動が激しくない (必須) |
◎ |
配当性向が60%以下 | × |
自己資本比率が40%以上 | 〇 |
EPSが上昇傾向、変動が激しくない | △ |
営業利益率が10%以上 | ◎ |
流動比率200%以上 | 〇 |
1株当たりの純資産が長期的に上昇傾向 | ◎ |
営業活動によるキャッシュフローが上昇傾向、変動が激しくない | ◎ |
こちらは配当が長期的に安定して定額支払われています。
しかし、配当性向は長期的に見て60%以上であり、100%を超える年も多くみられます。
配当性向が100%を超えるということは、会社の資産を取り崩して、株主に支払っていることになりま
す。
今後もこのような状態が続けば、減配が見込まれます。
とはいえ、売り上げも長期的にみて上昇傾向であり、自己資本も40%以上とある程度あります。
高齢化社会の現在は今後も医薬品の需要が高くなることも見込まれます。
総合的にみると、購入する価値があると考えられます。
日本空調サービス(株)
日本空調サービスは空調設備のメンテナンスを主に行っている会社です。
株式の評価は以下の通りです。
配当利回り3.75%以上(必須) | ◎ |
配当推移が上昇傾向、変動が激しくない(必須) | ◎ |
売上高が長期的に上昇傾向、変動が激しくない (必須) |
◎ |
配当性向が60%以下 | 〇 |
自己資本比率が40%以上 | ◎ |
EPSが上昇傾向、変動が激しくない | ◎ |
営業利益率が10%以上 | 〇 |
流動比率200%以上 | ◎ |
1株当たりの純資産が長期的に上昇傾向 | ◎ |
営業活動によるキャッシュフローが上昇傾向、変動が激しくない | 〇 |
総合的な評価もよく、会社の業務内容も今後需要があるものだと考えられます。
こちらも購入する価値があります。
(株)エフティグループ
エフティグループは中小企業向け電話機やOA機器、LED証明の販売を行っている会社です。
株式の評価は以下の通りです。
配当利回り3.75%以上(必須) | ◎ |
配当推移が上昇傾向、変動が激しくない(必須) | ◎ |
売上高が長期的に上昇傾向、変動が激しくない (必須) |
◎ |
配当性向が60%以下 | △ |
自己資本比率が40%以上 | 〇 |
EPSが上昇傾向、変動が激しくない | ◎ |
営業利益率が10%以上 | ◎ |
流動比率200%以上 | 〇 |
1株当たりの純資産が長期的に上昇傾向 | ◎ |
営業活動によるキャッシュフローが上昇傾向、変動が激しくない | ◎ |
この株式は配当性向が年々徐々に上がっており、今年度60%を超えており注意が必要です。
とはいえ売上高、EPS、BPSが年々上昇傾向にあり、利益をしっかりと出していることが分かります。
会社の業務内容も今後需要があるものと考えられます。
注意する箇所はありますが総合的にみると、購入する価値があります。
フィデアホールディングス(株)
フィデアホールディングスは地方銀行を子会社に持ちその経営管理を行う企業です。
株式の評価は以下の通りです。
配当利回り3.75%以上(必須) | ◎ |
配当推移が上昇傾向、変動が激しくない(必須) | ◎ |
売上高が長期的に上昇傾向、変動が激しくない (必須) |
◎(銀行業のため経常利益で換算) |
配当性向が60%以下 | 〇 |
自己資本比率が40%以上 | -(銀行業のため40%以上での検討不可) |
EPSが上昇傾向、変動が激しくない | △ |
営業利益率が10%以上 | -(銀行業のため検討不可) |
流動比率200%以上 | 〇 |
1株当たりの純資産が長期的に上昇傾向 | 〇 |
営業活動によるキャッシュフローが上昇傾向、変動が激しくない | △ |
こちらは必須条件は満たしており、配当も減配することなくしっかりと、支払われています。
但しEPSや営業キャッシュフローは変動が激しく注意が必要です。
会社の業務内容の地方銀行の経営管理ですが、低金利やネット銀行などによって、今後の経営に影響が
あることが懸念されます。
こういった背景を鑑みたうえで購入を検討する必要があります。
見るところがたくさんあるのね、疲れたわ・・・
お疲れ様、でもこうして最初にしっかりと選んでおけば、今後株価が少し変動しても、動揺せずに持っていることができるわ。
会社のことについて理解が深まるしいいことづくめね。
そうね、
今回みたいに会社の評価を表にまとめると分析がしやすくていいわ
まとめ
今回は高配当株式の選定方法について解説しました。
選定した株式の中にはしっかりと右肩上がりになっているものも少なく、評価に迷うときがあります。
ある程度評価が変わっても、説明した部分に注意して銘柄選定を行えば減配のリスクを減らすことがで
きるので、試行錯誤しながら株式を選別するのをお勧めします。
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