格付けの歴史と調べ方

金融解説

今回は企業の格付けについてまとめて説明します。

 

格付けとは

 

格付けはその会社がどのくらい信用力があって優れているかを示す指標です。

日本で格付けを行っている会社は主に格付投資情報センター(R&I)と日本格付研究所(JCR)の二つがあります。

 

なるほど、でも格付けってそんな大事なものなのかしら?

 

格付けは特に債権を購入する時に便利です。 

格付けの評価は高いほどデフォルト(倒産)しにくいという特徴もあります。

 

債権は購入している企業が倒産さえしなければ企業の業績が悪くても元本に利子をつけてお金を返してもらうことができます。

またこの格付けの結果は株価にも影響を与えるため株式投資にも関係してきます。

 

このように格付けについて知っておくと、株式・債権に投資する人にとってメリットがあります。

 

詳しく見ていきましょう。

 

格付けの歴史

 

現在では格付けは企業が株式や債券を発行する際にどのくらい信用できるかという理由から重要視されています。

しかし株式や債券が一般的になってから300年以上格付けという者はありませんでした。

 

証券が初めて生まれたのは12世紀で当時のイタリアが戦費調達のため債券が発行されました。戦費の調達で国が臨時でお金を調達するために債券を発行してお金を集めるという方法が取られたんですね

 

このように臨時でお金を集めるための方法として証券を発行するという方法は、企業にも使われ始めました。

有名なものだと大航海時代に17世紀に東インド会社が株式を発行しました。これにより集まった資金は船の開発や航路の開拓のために使われ貿易で莫大な利益を得るのに貢献しました。

 

東インド会社の成功により、株式や債券の発行は一般的になりました。

 

19世紀にはアメリカのインフラ開発のため多くの企業が債権を発行しました。しかし、当時は情報開示制度も発達しておらず、債券を発行している企業について詳しく知るのが難しかったのです。

 

そのため、信用興信所という「その企業が信用できるか」という情報を集める機関がいくつもできました。「企業が信用できるか知りたい」という顧客をターゲットにしたビジネスが出来上がります。

 

そうして、いくつもの機関が企業の情報を集められ、まとめられていったことにより企業の分析がしやすくなり、安価に企業の情報が得られるようになっていきました。

 

これにより貸し手企業についての情報を得やすくなり、お金を貸した企業が倒産してしまうリスクが減りました。

 

1860年にはS&P(スタンダード・アンド・プアーズ)、1990年にはMoody's Corporation(ムーディーズ)とアメリカ大手の格付け企業設立され、アメリカの多くの企業の信用情報をAAAからCまでで格付けを行いました。

 

これにより、どの企業が信用できどの企業が倒産のリスクがあるのかが明確化しました。

 

こうして、格付け機関により、金融業界に貢献し日本にも1979年に格付投資情報センター(R&I)、1985年に日本格付研究所(JCR)が設立され、現在では1000社以上の企業が格付けされています。

 

格付けの方法とメリット

 

実際に格付けはどのように行っているのかについて公開されていませんが、企業の経営状況などの事業リスクと資産状況といった財務リスクなどを参考に算出されます。

 

S&Pの格付け方法は事業リスクと財務リスク、それぞれ7項目から格付けがされています。

参考

https://www.fsa.go.jp/news/newsj/16/f-20050209-2a.pdf

 

このような方法で格付けされ、ランクを主にAAAからCまでに分類されます。

 

ランクを付けることでどんなことが分かるの?

 

一般にランクを付けることで投資適格な債券や投資不適格な債券を知ることができます。

格付投資情報センターのデータでは1978年~2021年までの5年間での平均デフォルト率がAAAなら0%、BBBなら1%と格付けが低くなるにつれデフォルト(倒産)率が高くなっています。

 

こうしたデータから一般に格付けがAAA~BBB以上の債券は倒産する可能性が低く投資適確と呼ばれ、格付けがBB以下の債券は倒産する可能性が低く投資不適格と呼ばれているわ。
 

 

そのため、格付けが高い企業は低い利率でも債券が買ってもらえ、格付けが低い企業は高い利率で債券を発行しなければ買ってもらえません。

 

アメリカでは格付けが高いものを集めローリスクハイリターンのAGG、格付けが中程度のものを集めたミドルリスクミドルリターンのLQD、格付けが低いハイリスクハイリターンなHYGといった債券の投資信託があります。

 

格付けの調べ方

株式の格付けは個人でも調べることができます。

今回は日本の格付投資情報センター(R&I)・日本格付研究所(JCR)での格付けの調べ方について解説します。

 

格付投資情報センター(R&I)

まずは、格付投資情報センター(R&I)で格付けを行っている企業の一覧は企業のホームページに入ります。

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「信用格付け」→何も入力せずに検索を押すことで一覧を見ることができます。

 

名前を入れて検索をすれば該当する個別の株式や債券の格付け情報を見ることもできます。

 

 

一覧を見ると、株式や債券の格付け情報が一覧で表示されます。

一覧からは各企業の格付け情報を見ることができます。

ここで各企業どんな格付けをされているか見ることができます。

名前の横にカッコ書きで番号が入っているものは株式の証券番号です。

カッコがついていないものは債券を発行しています。

 

次はこの中の格付け情報について詳しく見ていきましょう。

格付け情報は以下のように新しいものから古いものまでが一覧になっています。

格付けは随時更新されており新しい記事で格付けについて記載されているレポートを見ることで現在の会社の情報についても見ることができます。

 

レポートには格付けを行った理由の他に発行した債券の発行額や利率についても記載されています。

 

 

日本格付研究所(JCR)

日本格付研究所(JCR)についてもほぼ同様の方法で見ることができます。

企業のホームページに入ります。

日本格付研究所 - JCR
日本格付研究所(JCR)は、国内外で発行・流通する債券・ストラクチャード・ファイナンス等の格付・情報提供を行っております。

 

「格付一覧」→何も入力せずに検索を押すことで一覧を見ることができます。

 

名前を入れて検索をすれば該当する株式や債券の格付け情報を見ることもできます。

 

一覧を見ると、株式や債券の格付け情報が一覧で表示されます。

一覧からは発行体の格付け情報を見ることができます。

ここで各企業どんな格付けをされているか見ることができます。

 

こちらは4桁のコードが書かれているものは株式それ以外は債券を発行している機関になります。

今回は愛知銀行について見てみます。

 

格付け情報は以下のように新しいものから古いものまでが一覧になっています。

格付けは随時更新されており新しい記事で格付けについて記載されているレポートを見ることで現在の会社の情報についても見ることができます。

 

 

こちらもレポートには格付けを行った理由の他に発行した債券の発行額や利率についても記載されています。

 

まとめ

今回は格付けの歴史からそのメリット実際の調べ方について解説しました。格付けは企業が信用できるか知るための大きな指標となり、株価にも影響するため重要な指標になっています。

 

気になる企業の格付けをチェックしておくことで安心材料やリスクを減らす対策にもなるので参考にしていただければと思います。

 

今回はここまで

それでは

 

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