アナリーゼ

音楽解説

L.v.ベートーヴェン エリーゼのために アナリーゼ(楽音分析)

L.v.ベートーヴェン エリーゼのために ベートーヴェンの作品の中でも有名な一曲です。 曲の難易度も比較的低く、馴染みやすい旋律のため、コンサートでも演奏される機会が非常に多い作品です。 この作品の最大の謎として「エリーゼって誰?」という疑問が浮かびます。 しかし、この曲はベートーヴェンの死後に発見されており、謎のままとなっています。 しかし、2つの説があります。 一つ目は、ベートーヴェンと親交の深かったテレーゼ・マルファッティのことを指しており、 ベートーヴェンの字が雑であったため、テレーゼをエリーゼと読み間違えてしまったのでは?という説です。 この曲の譜面も、彼女の遺品の中から発見されたので一番有力な説です。 もう一つは、ソプラノ歌手のエリザベート・レッケルです。 彼女の兄はベートーヴェンの歌劇に出演しており、その関係でベートーヴェンは彼女に恋心を抱いていたと言われています。 エリザベートは作曲家のフンメルと1810年4月に婚約します。 「エリーゼのために」が作曲されたのは1810年4月27日だったので、彼女へのお別れの作品だったという説です。 真実は迷宮入りですが、こうした背景を知っておくと、ベートーヴェンが短い曲の中に、喜びや悲しみなど、いろいろな思いを込めて作ったことが伝わってきますね。
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F.F.ショパン ワルツ第6番 変ニ長調 作品64-1 子犬のワルツ アナリーゼ(楽音分析)

フレデリック・ショパンが作曲したピアノ独奏曲で「子犬のワルツ」とも呼ばれています。 ショパンの恋人であったジョルジュ・サンドが飼っていた子犬には自分の尻尾を追って、ぐるぐる回る習慣がありました。 サンドはショパンにそれを音楽で描写して欲しいと頼んだことから即興的に作曲されました。 中盤の高く短い音は子犬がつけた鈴の音といわれています。 3拍子のワルツで、子犬が踊るように転がる姿が目に浮かびます。 曲も短く明るくかっこいい作品です。
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F.F.ショパン ポロネーズ第3番 イ長調 作品40-1 軍隊のポロネーズ アナリーゼ(楽音分析)

この曲は明るく威厳があり、堂々とした曲想から「軍隊のポロネーズ」という俗称で呼ばれています。 曲全体で用いられている舞曲のリズムや、ダ・カーポによって冒頭部分が反復する三部形式など、 ポロネーズというジャンルの伝統的な特徴を備えています。 さらに、中間部のファンファーレのフレーズや、低音部で轟くトリルなどによって、 勇壮で英雄的な雰囲気が出ています。 こうした曲想はポーランドの国の雄大さが表現されているという見方もでき、 ショパンの愛国心がうかがえる作品の一つです。
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ビョートル・チャイコフスキー 白鳥の湖 第2幕 情景 アナリーゼ(楽音分析)

この曲は『眠れる森の美女』、『くるみ割り人形』と共に「3大バレエ」と称される名作です。 ドイツの作家 ムゼウスによる童話「奪われたべール」を元に作られました。 当時のバレエ音楽は、オペラや交響曲に比べて芸術的価値が低いものでした。 チャイコフスキーはすでにオペラや交響曲の分野で成功を収めていたにもかかわらずこの曲を作成しました。 それは、以前からバレエ音楽に興味を持っていたためです。 チャイコフスキーにとって初めてのバレエ音楽でしたが、初めて演奏した際には、踊り手・指揮者に恵まれず不評でした。 その後、この曲は作曲者の書斎に眠っていたのを弟子のイワノフによって改造がなされました。 チャイコフスキーが亡くなった2年目にこの曲は演奏され、今でも演奏される人気の作品となりました。
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F.F.ショパン 即興曲第4番 嬰ハ短調 作品66 幻想即興曲 アナリーゼ(楽音分析)

ショパンは生涯に4曲の即興曲を作曲していますが、生前に出版されたのは第1番から第3番までの3曲で、これらの作品は1837年から1842年にかけて作曲されました。 この即興曲第4番はショパンの死から6年後の1955年に友人で法律家、作曲家でもあったユリアン・フォンタナによって出版されました。 「幻想即興曲」のタイトルはその際に付けられました。 ショパンは遺言で自身の未出版作品を破棄するように希望したと伝えられていますが、実際にはフォンタナはこの幻想即興曲以外にも複数の未出版作品を出版しています。 作品の構成として 冒頭で力強いオクターブの響きに続き、左手が流麗に奏でるアルペジオにのって右手が幻想的で即興的なフレーズを奏でます。 中間部ではがらりと曲想を変え、ショパンらしい詩情を伴った美しく繊細な旋律で魅了します。 楽曲は再び冒頭の部分に戻り、最後は中間部の美しい旋律が回想され、静かに終曲します。 CMやテレビドラマの「のだめカンタービレ」にも使用されたり、フィギュアスケート選手の浅田真央さんもプログラム曲として使用していて、とても印象深い曲です。 速いパッセージが続き難しいイメージもある曲なので、これが弾けたら良いなと思う方も多いのではないのでしょうか。
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F.J.ハイドン 交響曲 第94番 ト長調  驚愕 アナリーゼ(楽音分析)

ハイドンが生涯の大半仕えてきたエステルハージ侯の死去に伴って、候家を去ることになってから、経験したロンドン旅行の1回目の滞在期間中にあたる、1791年に作曲した作品です。 この楽曲に付与されている『驚愕』という愛称は、第2楽章冒頭の主題が最弱音にて2度繰り返し演奏された後に ティンパニを伴った全奏者で不意打ちを食らわせるが如くに、強く演奏するところから名付けられたものです。 作曲者自身が命名したのでは無く、初演から間もなくして初演地の地元・ロンドンで発行された新聞紙上に掲載されたことで有名になりました。 こうした作曲の仕方を採った背景として、ハイドン自身が1度目のロンドン滞在中に目の当たりにした聴衆のマナーの悪さが原因でした。 当時、聴衆の中に居眠りをする者が少なからず存在していました。 このことに癪に障る思いを抱いていたハイドンは、持ち前のユーモアさなどを活かし、 この楽曲を使って聴衆をたたき起こそうと行動を起こしました。 実際の演奏の場では、第2楽章の強奏箇所のところでハイドンはティンパニ奏者に対し力一杯叩くよう指示しました。 ハイドンの狙い通りに聴衆がビックリして飛び上がったという話も有名です。
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アントニン・ドヴォルザーク ユモレスク 第7番 アナリーゼ(楽音分析)

この作品は『8つのユモレスク』の一つです。 『8つのユモレスク』 作品101は、アントニン・ドヴォルザークが1894年の夏に作曲したユモレスク集です。 中でもこの変ト長調 第7曲は、最も有名なピアノ曲の一つに数えられています。 ユモレスクとは軽やかな気分の小曲という意味です。 1894年、ドヴォルザークは家族とボヘミアで夏休みを過ごしました。 この休暇中に、蒐集した素材を用いてピアノのための小品集の作曲に着手し、7月19日にロ長調の小品をスケッチしました。 間もなく、出版を目論んでこの曲集の完成に取り掛かり、1894年8月27日に譜面が出来上がりました。 草案の段階では『新スコットランド舞曲』と呼んでいましたが「ユモレスク」と改められ、楽譜が出版されました。 全部で8曲のなかの第7番が、名ヴァイオリニスト・クライスラーによって、ピアノ伴奏を伴うヴァイオリン独奏に編曲されたことなどもあり、最も有名です。 リラックスした感じで始まる主部の部分と、ボヘミアの哀愁を感じさせる中間部の旋律の対比もすばらしく、 「ドヴォルザークのユモレスク」として単独で演奏されることも多く、クラシックのジャンルも超えて、 広く親しまれている名曲となっています。
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E.サティ ジムノペディ 第1番 アナリーゼ(楽音分析)

サティのジムノペディは第1番から第3番まであり、有名なのはこの第一番です。3/4拍子のゆったりとしたテンポ、装飾を排した簡素な曲調、独特の愁いを帯びた旋律が特徴です。 サティの代表的な作品として、タイトルとともに知られるようになった『ジムノペディ』という名称は、 全裸で大勢の青少年が、古代ギリシアのアポロンやバッカスなどの神々をたたえる祭典をモチーフにして作った造語です。 サティはこの祭りの様子を描いた古代の壺を見て曲想を得たといわれています。 ゆったりとした音楽からはモチーフの祭典が全然想像がつかないのは私だけでしょうか。
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F.F.ショパン エチュード 作品10-1 ハ長調 アナリーゼ(楽音分析)

この曲は1830年11月に作曲されました。 幅広い音域でのアルペジオ(分散和音)の習得を目的としており、難易度が非常に高い作品です。 ショパンのエチュード(練習曲)は、「1番から順番に弾いてはいけない」と言われています。 それは、この曲の難易度が非常に高いのが理由です。 この作品では、ピアノの4オクターブを越える音域を、端から端へと右手の分散和音が駆け抜けます。 演奏の際には、右手の拡張と伸縮が課題となるのと同時に、右手上腕の柔軟性が求められます。 加えて、低音域から高音域、またその逆へと進行する分散和音を無理なく演奏できるようになるためには、 上半身の安定を意識する必要がある作品です。 練習曲とは思えない難易度ですが、曲も練習曲とは思えないほどの美しいメロディを奏でることで有名な作品です。
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F.F.ショパン エチュード 作品25-11 木枯らし アナリーゼ(楽音分析)

この冒頭の4小節は作曲当初には存在しなかったが、後に友人の提案によって追加されています。 ショパンのエチュード(練習曲)集の一つです。 右手が旋律音の間を急速に上下するパッセージワークのための練習曲です。 右手は一部を除いてひたすらパッセージワークを奏で、左手が序奏の旋律を担当します。 右手が幅広い音域を行ったり来たりするため、腕だけでなく、上半身全体のスムーズな体重移動が要求される高難易度の作品です。 練習曲として、速くて細かいパッセージで右手が鍛えられるようになっていますが、 その動きがあたかも厳しい冬の木枯らしに乱舞する、落ち葉のようすを描写していることから、 この題名は広く知れ渡っています。